第5回 物権総論
あなたの行政書士法務事務所のドアが開いて、男が入ってきた。あなたは
おや、と思った。男が宝石商の梅宮だったからだ。
泣き虫の文太のピンチを救ったあなた(第2回 代理)にとって、形と
しては、対立関係にあった梅宮が何の用だろう。
「あんたに相談があってきたんだ。文太から聞いてな。これ土産だ。」
と、漬物をくれた。
話はこうだ。
梅宮がある土地を時効取得したという。だが、喜んで登記をしにいくと、
すでにカジキ釣り船の船長、松方が登記をしていたらしい。
なんでも松方は、この土地を平成20年の2月に持ち主の毛皮商、美川
から購入して同日に登記を済ませたという。
梅宮が時効取得したのは今月、つまり平成20年の6月。
「ひとあし遅かったよ。土地には登記ってことは俺も知ってる。だが、
なんとも諦めがつかねえんだ。」
あなたは日焼けした梅宮の顔を見ながら、相談料をいくら貰おうか考え
てからこう言った。
「その土地は梅宮さんのものですよ。どうしてかと言うと・・・」
なぜこの場合、梅宮は所有権を主張できるのか。
その理由を、40字程度で記述せよ。
下にある解答を見る前に、答えを書いてみることをお勧めします。
行政書士試験 40字記述式問題 物権総論
解答例
時効完成前に不動産を承継した者は、当事者の地位にあり、時効取得者
に登記は必要ないため。(43字)
解説
択一でも出題が考えられる基本問題。
時効完成後に不動産を譲り受けた者とは対抗関係に立ち、登記が必要に
なることも理解しておいてください。